小さな花

juba

2013年04月07日 23:55

『  パパ   これあげる・・   里利香 (りりか) からだよ   』




日曜の午後  トレーラーの中で寛いでいると   リリカがそう言ってパパに花をくれた



それは咲いたばかりの桜花・・   
どうやらそれを 近くの公園から 一つ摘んできたようだ







『  綺麗でしょ  』





ほっぺたを赤くして そういうリリカ・・     少し息がきれている      おそらくここまで走ってきたんだろう




彼女が生まれた頃からある その公園・・    
まだ当時は 一人で歩けない ヨチヨチ歩きの赤ん坊だった



一緒に手を繋いだその先で、 スズメを見ては指差し  猫を見つけては指差し   目に入るもの全てをパパに教えてくれていた公園



《 あれから7年か・・ 》



明日は小学校の入学式だ









予定日より1ヶ月以上も早く    未熟児で生まれてきた彼女

急いで病院にかけつけると 自発呼吸が出来ず、 取り付けられた機械やチューブの中で 小さな体が揺さぶられ続けていた

当時は 先にある入園や小学校のことを想像するよりも、 今 こうして保育器に入っている彼女を助けてあげたい ・・   
ただそれだけが 心からの願いだった


深夜 仕事を終え自宅に帰ると 彼女の小さな口に そっと耳を近付ける…

『 大丈夫 … ちゃんと息してる 』 そんな日々







《   パパ   これあげる・・   》




こんな俺を 喜ばせようと   走って手の中に包み持ってきた 小さな桜の花




出来るなら ・・    このまま変らずに ずっと手の中に . . . . .



    
ありがとう ・・        そして          おめでとう!


  

















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